須藤昭夫(すどう・あきお)


 1956年生まれ。脳性まひの障害当事者。

 新潟県上越市在住。



1.ホワイトハンズとの出会いと、「障害者の性」

2008年4月に、インターネットのホームページでホワイトハンズを発見したのがきっかけですね。

はじめは「へぇ〜、新潟でもこんなサービスができたんだ」程度の認識でしたが、
実際に一人の利用者としてケアを受けてみて、「これは、ひょっとして自分が以前から考えていた、
理想のサービスなのではないだろうか」と思うようになり、運営や広報活動に協力することにしました。

私も自前で「障害者の性」に関する掲示板を運営していたので、
この問題には、長年関心があったんですね。

正直に言うと、私も以前は性風俗、デリバリーヘルスを利用していたことがありました。
若いときはやんちゃだったので、東京でも色々と夜遊びをしたりしましけどね(笑)。

ただ、こういった性風俗の場合、利用した後に「罪悪感」や「虚しさ」が残るんですよ。

どうしても、女性差別の片棒をになっているのでは、自分の欲望を満たすために、
女性を傷つけてしまっているのでは、という思いが頭から離れませんでした。

女性従業員も、当然のように全員が偽名で、後ろめたい感じで働いていますしね。

それに性風俗だと、女性とのコミュニケーションがほとんど満足に取れないんです。

自宅にやってきて、すぐにシャワーを一緒に浴びて、服を脱いでサービス開始、といった
流れじゃないですか。時間的な制限もありますし、そもそもお互いが後ろめたい
動機で働いたり、利用したりしているので、会話があまり弾まないんです。

そのため、「性風俗」ではなく、あくまで「介護」として、障害者の性的な欲求の解消に
対応してくれるサービスがあれば、ということは、ずっと考えていました。



2.性に対する二種類の見方

障害者だけでなく、「性」に対しては二種類の見方が有ります。

@社会の闇(=ブラックゾーン、グレーゾーン)としての「性」

 ⇒「暗い」「汚い」という視点で語られる、いわれる「性風俗」や「性行為」

A健全な生理現象、子孫繁栄、愛情表現(=ホワイトゾーン)としての「性」

 ⇒愛する男女が出会い、お互いの信頼を深めたり、子孫繁栄を実現する行為


「性欲」を@とみるかAとみるか、どちらの見方をするかで、「性」に対する捉え方は、ガラリとかわります。


今の介護福祉業界、日本社会における問題は、@の視点からでしか
「性」を捉えることができていない、ということです。

そのため、「障害者の性」を解決すべき問題として理解できる人は、まだまだ少数派です。

しかし、現実として、自分では性的な欲求を処理できないで、悩みや苦悩をいだいている
障害者が存在しているのも事実。

よって、「性」を闇の世界(ブラックゾーン、グレイゾーン)から
陽のあたる世界(ホワイトゾーン)にもちだして、皆で話せるようにならないといけない、と思います。



3.「性」を「ホワイトゾーン」の存在としてとらえるようになった背景

私は、同年代の障害者の中では、「性」に関して比較的オープンに語れる人間だと思っています。

その理由としては、両親の影響が挙げられます。

私は8人きょうだいの末っ子で、生まれつきの脳性まひだったのですが、
両親は「障害者だから」といって特別扱いするようなことはせず、
稲刈りや耕運機の運転、農作業などの仕事を、どんどん私にやらせました。

「性」に関しても、思春期が来て夢精をするようになったときに、
母親が「こうやって、自分で始末するんだよ」と、射精の上手なやり方を
丁寧に教えてくれました。今にして思えば、非常に進歩的な母親ですね。

また私は両親と同じ部屋で寝ていたので、両親の「夜の営み」も何度か見たことがあります。

その時は、特に「不潔だ」とか「汚い」といった感想は、全くもちませんでした。
逆に、「ああ、自分はこうやって生まれたんだ」と、妙に感動しましたね。

自分の父親や母親も一人の男であり女なんだ、ということを見て、
「とうちゃん凄いな」「かあちゃんキレイだな」と、感動したことを覚えています。

こういった子供時代の環境の影響もあって、こうして「性」に関して
偏見を持たずに、オープンに語れるような人間に育ったのだと思います。
そういう意味では、両親には感謝しています。



4.施設で見た女性障害者の性

私は今一人暮らしなのですが、まだ施設にいた20年ほど前、
同じ施設に、20代後半の女性脳性まひ障害者の人がいました。

ある6月下旬くらいの晴れた日に、桜の木の下で
その人がオナニーをしている場面を見てしまったんですね。

手がうまく使えないのでモジモジしているのを見て、私は黙って近づいて
彼女の股間に手をやって、ジャージズボンの上から刺激しました。

お互い、無言のまま20分ほど過ぎて、彼女がフ〜ッと吐息をついたので、
手を戻して、その場を離れました。

その頃の事は、未だにお互い、口にはしていません。

といっても別にやましいことではなく、お互いに理解しあっているから、特別な事ではないんですよ。

何度かそういう行為をしているので、男性障害者同様、女性障害者にも
同じく性欲と性に関する悩みが有る事は、解ります。



5.「性風俗」ではなく、「介護」の領域へ

ホワイトハンズは、ホームヘルパーと同じ感覚でスタッフが来て、ケアに入ります。
風呂に入る、トイレの介助を受ける、掃除や洗濯をしてもらう、というような感覚で利用できるのが嬉しいですね。

性風俗のような「グレーゾーン」のサービスだと、罪悪感も残るし、利用後に虚しくなります。
「ホワイトゾーン」なら介護・介助として、何の遠慮もいりません。
スタッフの方とも仲良く談笑できますし、この前も一緒に、地元の寿司屋に飲みに行きましたしね(笑)。

もちろん、社会常識を超えた公私混同はよくないことですが、通常の訪問介護同様、
「スタッフとの信頼関係」を築くことができる、ということが、

ホワイトハンズと性風俗との、一番大きな違いだと思います。

今後も、代表と協力して、ホワイトハンズの広報活動に取り組んで行きたいと考えております。

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