一般社団法人ホワイトハンズ




 
【政策提言】射精介助の社会化を実現するために



一般社団法人ホワイトハンズでは、関係各省庁に対して、「性の介助」=射精介助を、法律的・制度的に
「介護行為」として認めさせるための政策提言活動を行っております。


●政策提言(要望書・意見書)提出履歴


 2011/07/14 厚生労働省障害福祉課に、「障害者の性」白書を寄贈しました。

 2010/01/12 「障がい者制度改革推進会議」の構成員に、政策提言書を送付しました。

 2009/12/02 政策提言書「『性の介助』の社会化を実現するために」(2010年版)を公開しました。


ご興味のある方は、下記の提言をお読みになったうえで、ぜひ署名にご協力ください。


 「射精介助」の社会化を実現するために 〜「性の介助」の現場から、行政に対する3つの提言〜

▼提言@:射精介助を、食事や排泄介助同様の「介護行為」として認めること

 厚生労働省は、身体麻痺や拘縮、筋萎縮等の理由で、自分の力で物理的に射精を行うことのできない
 男性重度身体障害者・神経難病患者に対する射精介助を、食事や排泄、入浴同様、
 毎日の暮らしの中で当たり前に行われるべき「介護行為」として認め、
 介護保険法及び障害者自立支援法廃止後の新しい法律における、適用対象サービスとすること

▼提言A:射精介助を、風俗営業適正化法の規制対象から除外すること

 公安委員会・警察庁は、介護経験者及び有資格者による男性重度身体障害者・神経性難病患者に
 対する射精介助を、「性的好奇心を満たすための娯楽」ではなく、毎日の暮らしの中で当たり前に
 行われるべき「介護行為」として認め、風俗営業適正化法の規制対象から除外すること

▼提言B:射精介助を、青少年健全育成条例による規制対象から除外すること

 地方自治体は、介護経験者及び有資格者による18歳未満の重度身体障害児に対する射精介助を、
 「未成年者に対するわいせつ行為」ではなく、毎日の暮らしの中で当たり前に行われるべき
 「介護行為」として認め、青少年健全育成条例による規制対象から除外すること


【提言の趣旨】

男性重度身体障害者の「人間としての尊厳と自立」を守るためには、「射精介助」を法律的・制度的に、「身体介護」として認めることが必要である

これが、実際に「性の介助」の現場で活動している私達の総意です。


【「性の介助」の不在】

食事や睡眠、排泄などと同様の基本的生活行為であり、生活の質=QOLの核となる要素であるにも関わらず、
現在の介護・福祉サービスの中において完全に「黙殺」されている領域が、
「性の介助」=男性重度身体障害者・神経性難病患者に対する、射精介助です。


【それに伴う、「自尊心」の喪失】

この「黙殺」によって、身体麻痺や拘縮、筋萎縮のある男性重度身体障害者や神経難病患者の多くが、
男性としての基本的な生理現象である射精を、長期間(十数年〜数十年、場合によっては、生涯にわたって、一度も)行うことができずに、
身体的にも精神的にも、大きな苦痛を味わっています。

性機能の低下は、自尊心の低下、そして「生きる意欲」の低下に直結します。

性機能の喪失は、自尊心の喪失、そして「生きる意欲」の喪失に直結します。

すなわち、こうしている間にも、「射精介助」の不在によって、男性重度身体障害者の自尊心、
そして「生きる意欲」は、日々擦り減らされ、喪失の危機に晒されているのです。


【「人間としての尊厳と自立」を守る】

後述するように、射精介助それ自体は、非常にシンプルな介助であり、導入に際しては特に財務的負担を必要としません。
厚生労働省の通達があれば、今、すぐに、全国の現場で実施できる介助です。

射精介助を、食事介助や排泄介助と同様の「身体介護」として認めることができれば、
男性重度身体障害者の「人間としての尊厳と自立」を守ることができます。

そして、障害の有無や年齢を問わず、全ての人が、生涯を通じて、
自分の「人間としての尊厳と自立」を守ることのできる、住みよい社会の実現にもつながります。

この『提言』が、一人でも多くの男性重度身体障害者の「人間としての尊厳と自立」を守るためのきっかけになることを希望します。


【射精介助について】


▼ポイント@:【介助のリスク=ゼロ】

 非常に安全な介助です

▼ポイントA:【倫理上のリスク=ゼロ】

 物理的な刺激のみによる介助です

▼ポイントB:【時間的コスト=ゼロ】

 短時間で、簡単に終了する介助です

▼ポイントC:【財政的負担=ゼロ】

 介護保険等の適用対象サービスとした場合でも、行政に対する財政的な負担は、全くかかりません



【ポイントの解説】

ポイント@:【介助のリスク=ゼロ】

そもそも、射精自体が生理的には通常の排泄行為と全く同じものなので、射精介助自体は、非常に安全な介助です。

「小便をしてショック死する人」「大便をして心臓麻痺を起こす人」がまずいないように、
重度の心疾患や失神発作が無い限り、射精によって心身の健康を損なうことはありません。

もちろん、健康面での不安がある人に対しては、事前に医師の診断・許可を義務付ける必要がありますが、
その点に関しては、通常の身体介護=排泄介助や入浴介助に対する注意点と同じ水準で問題ありません。


ポイントA:【倫理上のリスク=ゼロ】

射精介助は、何らかの視覚的な刺激によって射精を誘発する介助ではなく、介助者の手による物理的な刺激のみによって射精に導く介助です。

そのため、介助の最中に介助者が服を脱いだり、肌を露出したり、利用者に身体を触らせたりするようなことは、一切ありません。
また、介助の最中に利用者の性的好奇心を刺激するような、猥褻な本や映像を使用することも、一切ありません。


ポイントB:【時間的コスト=ゼロ】

射精介助は、短時間で簡単に終了する介助です。多くの場合、2〜3分程度で終了する介助なので、
毎日の入浴介助や陰部洗浄と平行して、さっと終わらせることができます。
長時間の利用が必要な場合は、別途自己負担にすれば問題ないでしょう。


ポイントC:【財政的負担=ゼロ】

介助の対象となる母集団は、自力で射精行為を行うことのできない男性の重度身体障害者・神経難病患者(全国に数千人〜程度)のみ、
ときわめて限られています。また前述の通り、射精介助は短時間で簡単に終了する介助なので、
これを介護保険や障害者自立支援法廃止後の新たな法律の適用対象サービスとして認めたとしても、
行政の財政的・事務的な負担が増加することは、一切ありません。



【射精介助を法的・制度的に認めることによって得られる、社会的なメリット】

「性の介護」を法的・制度的に認めることによって得られる、社会的なメリットは以下の通りです。



▼メリット@:障害者の性機能の低下を予防し、QOL=生活の質を向上させることができる

▼メリットA:性機能のケアを通じて、障害者の自尊心を守ることができる

▼メリットB:介護・看護の現場でのセクシャル・ハラスメントを減らし、介護従事者の労働環境を改善し、介護労働者の離職率を低下させることができる

▼メリットC:「性風俗」と「介護」の線引きを明確に行うことで、性機能に関する介護技術・理論を発達させることができる

▼メリットD:「性の社会化」=関係法令による明示的な規制・認証を行うことで、社会的な意識が変化し、性犯罪や迷惑行為を減少させることができる

▼メリットE:社会的に健全な形での雇用の創出、徴税の容易化が実現できる



【各メリットの解説】

▼メリット@:障害者の性機能の低下を予防し、QOL=生活の質を向上させることができる

▼メリットA:性機能のケアを通じて、障害者の自尊心を守ることができる

前述の通り、射精介助をはじめとした性機能のケアは、重度身体障害者のQOLの向上、及び自尊心の回復につながる重要なケアです。


▼メリットB:介護・看護の現場でのセクシャル・ハラスメントを減らし、介護従事者の労働環境を改善し、介護労働者の離職率を低下させることができる

性機能は、人間が子孫を残し繁栄していくためのもっとも重要な機能です。

しかし、女性の不妊治療や男性の勃起障害の治療が、医療保険の適用対象外となっている事実を見てもわかるとおり、
現行の医療・介護制度の中では、人間の性機能を「QOL向上のための重要なケア対象」として考えること自体が、全くなされていません。

このことが、医療・介護現場でセクシュアル・ハラスメントが蔓延している理由の一つとして挙げられるでしょう。

医療や介護の現場でのセクシャル・ハラスメントは、単なる個人の倫理観の問題ではなく、
「性機能のケアが全く考慮されていない」という現行の医療・介護制度上の欠陥を原因として生じる問題です。

したがって、制度の中に「性機能のケア」をきちんと組み込めば、問題解決の道が開けます。

医療や介護の現場でのセクシャル・ハラスメントを減らし、介護従事者の労働環境を改善することができれば、
社会的な問題になっている介護現場の人手不足、離職率の低下に、わずかでも歯止めをかけることができるはずです。


▼メリットC「性風俗」と「介護」の線引きを明確に行うことで、性機能に関する介護技術・理論を発達させることができる

現行の法律体制では、性に関わるあらゆるサービスは、例え医療・福祉目的のケアであったとしても、
風営適正化法によって「性的娯楽を目的とした、社会的に有害なもの」と位置づけられ、理不尽な規制を受けてしまいます。

このような状況下では、障害者や高齢者、入院患者の「性に関する尊厳と自立」を守るために必要な
介護理論や技術を発達させることは、非常に困難です。

「性風俗サービス」と「介護行為」の線引きを明確に行うことができれば、健全な形で
「性機能のケア」に関する介護理論や技術を発達させることができるはずです。


▼メリットD:「性の社会化」=関係法令による明示的な規制・認証を行うことで、社会的な意識が変化し、性犯罪や迷惑行為を減少させることができる

性には、@生理現象(射精、月経、出産等)としての性、A成人向けの娯楽としての性、
B恋愛・愛情表現としての性、C性別に基づく自尊心の基盤としての性、という4つの側面があります。

現行の法律体制では、これらを全く区別せずに、性に関するあらゆる全てのものを、
「社会的に有害なもの」とみなし、一律に同じルールで規制しています。

すなわち、青少年に有害な性的娯楽=性風俗サービスやアダルトビデオと、医療・介護目的で行われる射精や月経、
出産に関する性機能のケアが、全く同じ法律で杓子定規に規制されてしまう、という異常事態を招いています。

もちろん、性的な表現やサービスに対する規制は、公序良俗の観点から必ず必要なものです。

しかし、それらはあくまで「青少年に悪影響を及ぼす可能性がある、成人向けの性的娯楽」を
規制するために行われるべきであって、医療・介護の現場で行われる性機能のケアとは、本来全く無関連なものであるはずです。

「性に関するものを、全て一律に規制してしまおう」という考えは、必ずしも効果的な成果を挙げません。

一律規制ではなく、性が持っている様々な側面を冷静に分析し、より適切な形で細かく規制することができれば、
結果的に性犯罪や迷惑行為の低下につなげることができるでしょう。


▼メリットE:社会的に健全な形での雇用の創出、徴税の容易化が実現できる

性産業は、徴税面での「暗黒大陸」です。現金商売で、かつ個人事業主の店舗が多いため、
正確に税金を徴収することが、なかなかできません。脱税を目的として、短期間での廃業を繰り返す業者もいます。

これは全て、性産業が「合法と違法との間にある、グレーゾーンな商売」であることに起因していると考えられます。

法律的なバックボーンが曖昧で、社会的なイメージが非常に悪い産業であるために、
様々な違法行為・反社会的行為が頻発するようになり、それがさらに性産業全体の社会的なイメージを悪化させる、
という悪循環を形成しています。

性に関わるサービスを、いわゆる「性風俗」としてだけではなく、「性機能のケア」という健全な形のものとして
法律的・制度的な認証を与えれば、徴税の容易化、そして雇用の創出といった経済効果の側面からも、大きな成果を上げることができるでしょう。



【各省・自治体に対する具体的な提案】

厚生労働省

重度身体障害者に対する射精介助を、条件付で「介護行為」と認める通達を出す。

具体的には、



●脳性まひ等の先天性脳機能障害、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、
 脊髄小脳変性症(SCD)、脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神経難病の男性患者である場合

●身体麻痺、拘縮、筋萎縮等の理由で、物理的に自分の力で射精行為ができない、もしくは
 自分でできたとしても、日常生活に支障をきたすほどの長時間がかかってしまう場合

●射精行為によって、健康を害する恐れのない場合


上記3つの条件を全て満たす人に対して、ヘルパーが倫理上のルール(脱衣や身体接触の禁止、
性的好奇心を煽るような映像や本等の使用不可)を遵守して行う射精介助を「介護行為」と認めてください。


警察庁・公安委員会

厚生労働省の通達を受けて、介護目的で行われる射精介助を、風営適正化法の規制対象からはずす。


現行の法解釈では、重度身体障害者に対する介護行為としての射精介助であっても、
それを訪問介護サービスとして行おうとした場合、デリバリーヘルスなどの
「無店舗型性風俗特殊営業」とみなされて、同様の規制を受けてしまう危険性があります。

「無店舗型性風俗特殊営業」とみなされてしまうと、ケアサービスの実施・求人・広報活動の上で、
様々な制約を受けることになってしまう。具体的にいえば、『公序良俗に反する事業』とみなされることで、
一般の求人・広報媒体への掲載を全て拒否され、事務所の賃貸や金融機関からの資金調達、
助成金の申請に至るまで、あらゆる分野で大きなハンディキャップを負うことになります。

結果的に、デリバリーヘルスやソープランドといった性風俗サービスと同列の求人・広報媒体、
事務所物件を使用しなければ、一切営業・求人・広報活動ができなくなってしまう状況に追い込まれてしまい、
社会的に健全な形でのケアサービスの実施が行えなくなります。

介護サービス事業者がこうした理不尽な状況に陥ることを防ぎ、重度身体障害者に対する
介護行為としての射精介助を社会的に健全な形で実施できるようにするためにも、
風営適正化法の規制対象から介護行為としての射精介助を除外することが必要です。


地方自治体

重度身体障害児に対する射精介助を「わいせつ行為」ではない「介護行為」として認め、青少年健全育成条例の規制対象からはずす。


前述の通り、性には、@生理現象(射精、月経、出産等)としての性、
A成人向けの娯楽としての性、B恋愛・愛情表現としての性、C性別に基づく自尊心の基盤としての性、という4つの側面があります。

現行の青少年健全育成条例では、これらを全く区別せずに、性に関するあらゆる全てのものを、
「青少年に有害なもの」とみなし、一律に同じルールで規制しています。

すなわち、青少年に有害な性的娯楽=性風俗サービスやポルノ、出会い系サイトやテレクラなどと、
医療・介護目的で行われる射精や月経、出産に関する性機能のケアが、
全く同じ条例で杓子定規に規制されてしまう、という異常事態を招いています。

もちろん、性的な表現やサービスに対する規制は、公序良俗の観点から必ず必要なものです。
しかし、それらはあくまで「青少年に悪影響を及ぼす可能性がある、成人向けの性的娯楽」を規制するために
行われるべきであって、医療・介護の現場で行われる性機能のケアとは、本来全く無関連なものであるはずです。

したがって、重度身体障害児の「性に関する尊厳と自立」を守るためにも、彼らに対する射精介助を
「わいせつ行為」ではない「介護行為」として認め、青少年健全育成条例の規制対象からはずすことが必要です。



上記の提言に賛同していただける方は、下記のフォームより、ぜひ署名をお願いいたします。


*注1:署名の際にご記入いただいた情報は、上記の署名活動以外には、一切使用いたしません。

*注2:住所の署名は不要です。地方自治法上のリコール請求などの際になされる署名の場合には、有権者であることが要件となりますから住所・生年月日の記載は必要となります。しかし、今回の署名は賛同者を募るものであり、特に住所は必要ではなく、大臣や所轄省庁に提出する際の効力にも、何ら違いはありません。

*注3:署名数に関しては、「これだけ集まれば、法律が改正される」というような明確な基準は、正直なところ存在しないのが現状です。現在の法律では、この種の要望は数の大小が「決定要因」になるとは明記されていません。ただ過去の例から見ても、署名の多さが法律の改正や規制の撤廃に影響力を与える結果となっている事は、明白な事実です。

*注4:多数の署名を集めた場合、郵送による提出も可能です。その場合、事務局まで郵送でお送りください。代筆時の捺印は不要です。

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